お疲れ様です。
関西圏の方々は凄い豪雨で大変でしたね。一日も早いご復興と、皆様のご無事を心からお祈り申し上げます。
さて、今回株価リターンの計算方法について少し整理しておきたく、記載いたします。
今回数学的なことに興味がない方はあまり面白くはないのであしからず笑 でも知らない方は知っとくと便利だと思います。
私は元々アホなことに加えて、歳をとり、昔に学んだ数学の公式等を忘れ始めている今日この頃ですが、直感的に理解したものはしっかり覚えてたりするんですよね…。ですので今回の記載もなるべく小難しい数学は少なくして、数字が苦手な方でも直感的に何となくわかる…という記載の仕方をします。
リターン(収益率)の計算って何かというと株価収益率の計算です。
例えば投資日の株価は1,000円でした。 翌営業日の株価は900円でした。 収益率は何%ですか?
これは 収益率 = (900 – 1,000) / 1,000 = -0.1
となり、-10%であることが分かると思います。
でもこれが時系列データだったら…皆様もご存知の通り少し厄介な問題が起きます。
以下の表は株価1,000円の時に買い、5営業日目に1,000円で売った経緯を記載した表です。
上記で計算した通り、収益率は
収益率 = (当日の株価 – 前営業日の株価) / 前営業日の株価
で計算しております。 そしてその各営業日に出た収益率を合計したものが黄色いセルになります。
おかしいですよね。1,000円の株価で買い、1,000円で売ったのですからキャピタルゲインは0なはずです。(本来証券会社に払う手数料で赤字ですがそこは無視します)。
でも収益率の合計は927.5%…。 これは明らかに事実と不整合です。本来であれば収益率(リターン)は0%となるはずです。
こうなる原因は直感的な答えになりますが、株価が大暴落して1円になってしまっても約 -100%ですが、上記表の株価50円から500円に大暴騰している時は900%(10倍)となっております。
つまりこの収益率という計算方法はある基準点からある基準点までの最初と最後だけを取って計算する分には問題ないです。例えば投資日1,000円から売却日1,000円で収益率の式に代入して計算した場合はちゃんと0%の収益率になります。ですが、時系列で各期の収益率を計算し、各期の収益率の合計をするとマイナスの収益率とプラスの収益率ではプラスの収益率の方が大きく出てしまい、結果合計した時には事実と異なる大きい収益率が出てしまいます。
というわけで、Excel等で日々の株価を追い、時系列で株価収益率を計算したいという時は別の方法を考えます。それが上記表右端に記した対数収益率(対数リターンとも言います)です。黄色いセルの箇所を見てください。合計してもしっかり0%になってますよね。
この対数収益率は下落した額と上昇した額を同等の変化率で扱ってくれます。
聞いたことがない方はイメージが湧かないと思うのでもう一度分かりやすい例として下記を用意しました。先程の時系列で使う際に向いてないとお伝えした収益率はやはり90円から100円に戻すときは11.1%となり、100円から90円に落ちる-10%よりも絶対値として大きい収益率となっております。 結果100円が100円に戻っているが、収益率は1.1%。(事実と不整合)
一方この対数収益率は10円下落して10円戻っても、同じような変化率で見積もり、時系列として対数収益率を合計しても0%となり、事実と整合が取れてます。
じゃあ対数収益率ってどうやって出すの って知らない方は思うと思うので平易に説明してきます。
対数収益率は以下のように表されます。
上記式記載のx1は前回の株価、x2は今回の株価です。 つまりこのlogのカッコの中身は価格比を表しています。 また底がネイピア数のeになっているので、ExcelではLNと打てば底がeのlogとなりますので、上記の表で言えば =LN (90/100)で算出できます。
注意点もあります。この対数収益率は株価が大きく値下がりした時に、今まで利用していた収益率とは明らかに違和感を感じる数値が返ってくることがあります。
例として、先程上記に載せていた表に戻ります。この表で1,200円から50円に落ちたところの対数収益率をご覧ください。
-317.8%となっております。これは違和感ありますよね。下落率は絶対値で最大100%(今の株価から1円まで下落)のはずなのに、300%を超える下落は理解しがたいと思います。 でもこうったことがある点を理解しておくだけで問題ないと私は思っております。
なぜならもし人から収益率を聞かれた場合にはいつから、いつまでの…といった形で期間は決まっており、その際答えるのは従来の収益率で計算した答えを返せばいいだけです。
一方、対数収益率を使う目的は、時系列で対数収益率の推移を追ったり、もしくは他の銘柄と対数収益率を比較したりするのに使います。あくまでも物差しのイメージで対数収益率は使えればよく、1,200円から50円に暴落し、-317.8%の対数収益率が仮に違和感があったとしても、他銘柄と比較して大暴落が起きており、過去との比較でも大きい下落だと言うことが分かればそれでいいのです。
以上、数学わからないけど使えればいいや…、目的は株で儲けることだし!という方はここまでになります。是非便利なので使ってみてください。
数学的なことが気になる方は以下にお進みください。
Q&Aで以下の疑問を解決いたします。
1Q Logって何? 底ってなに?
1A 以下のサイトで分かりやすく解説してあります。
2Q Logの底についていたe (ネイピア数)ってなんだっけ?
2A ネイピア数 は数字(e ≒ 2.7182818) です。 円周率3.14はパイと呼んだりしますが、それと同じでネイピア数はeとなっております。
ネイピア数はイメージは連続複利です。
例としては年利5%つく預金があり、そこに100万円預けるとします。 単利であれば1年後105万円受け取って終了。利益は5万円ですね。
ですが、今回複利です。 半年複利の場合以下の式になります。
これに元本100万円をかければ625円分が半年複利の効果で増えたことになります。
では、毎日複利だったらどうなるか…
これに元本100万円をかければ1,267円分毎日複利の効果で増えたことになります。
ではこれに1時間複利にした場合、1秒複利にした場合、といった具合にどんどん期間を細かくして複利計算した場合… どうなるのでしょうか?
これを一般化すると以下の式なります。
上記のようになり、nは期間、rは利率となる。
尚、r=1 (100%)の時は以下の式になる。本来は以下の式が有名である。
なぜ上記の式からeの肩にrが付く式ができるのか不思議に思う読者がいるかもしれない。
これについては、長くなってしまうので以下のサイトにて確認していただけますと幸いです。
要はネイピア数は限界まで複利にした時にいくらまで増えるのか教えてくれる変数…ぐらいに覚えておけばよいと思います。Excelではe^0.05%*100万を
”=EXP(0.05%)*1,000,000” と入力すれば100万円を5%で連続複利をした時の値が返ってきます。もし興味ある方は試してみてください。
3Q 連続複利の部分と対数リターンのつながりをもう少し詳しく教えてください。
3A 先述した以下の式は連続複利にて金額を出す時、利用します。 先程計算した通り、利率のrと前期の金額があれば、今期の連続複利ベースでの金額を計算することができます。
そして、以下のように変換していくことができます。
上記の両辺に対数をとれば、以下の対数収益率(r)が出来上がります。(x1 / x2)は価格比です。
上記式は価格が分かっている時に連続複利ベースのリターンである対数リターンを算出したい時に使います。 株価リターンの計算に使うのはこちらの式が多いです。価格は勝手にマーケットで決まるわけですから。
以下はExcelにて、連続複利ベースの価格を出した後に、あえて対数収益率(対数リターン)を出したものです。
ちゃんと、単利ベースの収益率と対数リターンが一致してますね。
以下は、価格を所与として収益率と対数リターンを計算したものです。
もし興味あれば検証用に使ってください。
4Q 先程、なぜ収益率は時系列で各期のリターンを合計するとプラスに上振れやすく、一方対数リターンはなぜ下落時と上昇時の変化率を同じにできるのですか?
4A これについてはグラフを使って確認するとわかりやすいです。
下記のグラフは横軸が価格比、縦軸はリターンとなっております。
大文字のXを価格比とした場合、下記はそれぞれ…
収益率 = (当日の株価 – 前営業日の株価) / 前営業日の株価
=X-1
=LOG e (X)
とおけます。
点線より右側はプラスのリターンが出ている局面です。また、点線より左側はマイナスのリターンを出している局面です。
これを見ると、赤線の対数リターンは下落時(点線の左側)は価格比に対する感応度が大きいです。これにより、価格が数倍に暴騰して、X軸の価格比の値が大きく右側にいき、Y軸のリターンが大きく出たとしても、点線の左側の下落時のマイナスのリターンが相殺し、下落時と上昇時のインパクトを同等にみる性質があるわけです。 一方、線形である収益率のグラフは先程も記載した通り、最大損失は-100%。一方点線右側の上昇局面では、リターンが数倍になる(数百%のリターン)こともあり得るわけです。これでは時系列で各期のリターンの合計がプラスになるのもうなづけますね。
…
説明が下手で申し訳ありません。ですが、エクセルのスクショや簡単なグラフを載せましたので検証することはできると思います。多分文章だけ読んでいると分かりづらい気がしております。でも便利な機能ではあるので是非。
追記
過去に記事にした注目銘柄の投資パフォーマンス
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日本海洋掘削(1606) 空売り 記事記載日6/26
リターン:+94%(買戻し済み)
過去記事↓
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幸楽苑HD(7554) 空売り 記事記載日6/13
リターン :+6%(買戻し済み)
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日本M&Aセンター(2127) 買い 記事掲載日6/14
リターン:-15% (売却済み)
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田淵電機(6624) 空売り 記事記載日6/19
リターン:+55% (買戻し済み)
過去記事↓
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オリックス(8591) 買い 記事掲載日6/20
リターン:-3% (売却済み)
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鉄人化計画(2404) 空売り 記事掲載日6/30
リターン:+10% (投資継続中)
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夢の街創造委員会(2484) 空売り 記事掲載日7/4
リターン:+1% (投資継続中)
以上