あけましておめでとうございます。
2020年の大発会はイランと米国の関係悪化により、日経平均が400円越えの下落で始まりましたね。VIXは高くなってきており、リスクパリティ戦略のファンドなどは資金移動を行い、株安の呼び水になりそうです。
話は変わりますが、年始は証券会社各社が日経平均予想を発表することが多いですね。
こんな感じ↓
上記のような予想で15,000円など大暴落を予想する人はなぜいないのだろうと思いませんか? 毎年前年よりも若干高い予想を出す傾向がある気がします。
以下は過去の日経平均の推移です。過去15年で見ると今現在は結構な高値に…。
平均回帰的な考え方をすれば、15,000円ぐらいまで下がっても別に違和感ないです。
ただ、それはあくまでチャートの形の話であって、日経平均株価を構成している225銘柄の中身は2013年頃(日経15,000円程度)と比べて、今現在は進化している可能性もあります…
よって、どのくらい変わったのか確認するのが大事だと思います。
以下は、日経平均と225採用銘柄のBPS(一株当たり純資産)の推移です。
概ね連動してますね。会社の純資産が2013年と比較して倍近く増えていることが分かります。
ちなみになぜ純資産で確認したの?と思う人いるかもしれません。
個人的に Fama-French 3ファクターモデル が好きなので、純資産を用いたというのもありますが、それ以外の理由に、純資産はストックなので年度ごとに大きくぶれにくいというのがあります。
別に利益(EPS)に着目して会社の進化の度合いを調べても良いと思います。ただ、利益は年度ごとに変わりやすいです。
後でPERの表も載せておきますが、リーマンショックの年でPERのデータがない日があるんですよね。おそらくですが、EPSが負になったためだと思ってます。日経平均のEPSが負になるってやばいですね。でも、BPSで見ればその年はEPSが負になり、会社内の貯金をちょっと持ち出したから減ったのね…ぐらいの認識で済みます。実際リーマン後のBPSの推移を見ると少し凹んでますよね。
では、PERの表を載せておきます。
え…何このグラフ? って感じですよね。
これは私のデータ操作により、少しおかしな表示になってます。理由は以下の通りです。
リーマン後に225採用銘柄の利益が悪化してPER(時価総額 / 利益 = 株価 / EPS)の分子である、EPSが最初小さくなっていきます。そうなると徐々にPERは上昇(割高)し、最終的には300倍近くに来てますね。その後、利益が赤字になるとPERのデータがなくなっており、私が便宜上PERを0と置いたため、ドスンと下に落ちてます。
よって、利益の場合は年度ごと変化の影響が大きいなと感じます。
ちなみにリーマンを除いて、2011年くらいから今日に至るまでの日経平均のPERの推移を見てみましょう。
利益水準からみた価格の推移は特段過熱感ないですね。
もちろん、この先地政学リスクが顕在化して企業収益の悪化や、リセッション、災害などで企業の利益が減って、今後一時的にPERが上がることはあるかもしれません。ただ、PERは変わりやすいので、あまり気にしてもな…と思ってます。リーマン後のように赤字になって、それが続かないのであれば、それなりの日経平均株価をあの純資産の量が担保してくれるのではないかなと考えてます。
日経のPBRの推移も載せておきます。
最近の日経平均がBPSに対して特段高いというわけではなさそうです。むしろ15,000円近辺だった2013年頃よりも純資産の積み上げたことにより、純資産対比の時価総額は安いという結果に。日経平均株価のチャートだけ眺めると最近は高値な感じがしますが、中身を調べるといろいろ分かって面白いですね。
というわけで、毎年やる年始の日経平均予想で大暴落予想をする人が少ないのは、そんな理由があると思ってます。
また証券会社のビジネスモデルとして、暴落しますよ!なんて言えないというのもあるのでしょうね。(客に商いしてもらわないと儲からないので)
最後に米国のPBR等の推移も載せておきます。
S&P500のポイント数をS&P500のPBRで割ることでBPSを算出し、グラフにしてます。(BPSは指数になっているが、年度ごとの比で見たいので目をつむる)
日本と違うのは、PBRは2012年から右肩上がりになってますね。時価総額の成長に純資産が追い付いてないことや、リーマン前の水準より、今現在のPBRが少し高くなっているのも日本と異なる点です。日本の場合10年前と比較すると、BPSが倍以上に増えているが、米国は60%~70%程度。配当を加味していないので何とも言えないが、それでも時価総額の部分が米国は日本に対して強いなと思いますね。
それだけ期待しているとの見方もできますが、これ以上PBRがぐいぐい上がっていくなら、疑問を持つ必要があるかもしれません。
数値が気になる方は下記サイトにてご自身でも確認してみて下さい。
元データ載せておきます。
以上。