リスクとシャープレシオについて

お疲れ様です。

今回の話題はリスクシャープレシオについてです。知っている方にはあまり面白くない記事かもしれませんが、個人投資家さんであまり扱ったことがないという方は、便利だと思うので是非。統計学の分野ですので数学が少し出てくるかもしれませんが、なるべく平易にわかりやすく記載します。

よく株はリスクが高く、社債はリスクが低いなんていいますよね。リスクというと危険度損失可能性などネガティブなイメージがつきますが、金融の世界ではリスクという概念をボラティリティとして捉えてます。ボラティリティとは “変動の度合い” で、標準偏差で数値化し、リスクとして扱います。標準偏差をσ(シグマ)と表記する場合もあります。

直感的には “危険度” = “変動の度合い” と考えても何となくしっくりは来ますけどね。変動が大きければ大きな損失も出る可能性があり、危険度が高いみたいなイメージですかね。ただ、このイメージと異なる例外についても後程で記載いたします。

よって投資信託や株などでリスクと書いてあるのは標準偏差を表しており、σ(シグマ)と記載します。余談ですが、リスクの概念を初めて定義・定量化したのは1952年。それまでリスクという表現は曖昧で人によって理解もまちまちでした。それを当時大学院生だったハリー・マーコビッツによって、リスクを共通の尺度で表現し、比較も可能になりました。

では標準偏差の出し方についてですが、その前に一つ。あまり本件では深入りしませんが、金融商品のリターンの分布において、多くの場合は正規分布を仮定していると頭の片隅に置いといて下さい。正規分布についてですが、統計学では何かデータを扱う時にまずそのデータがどのような確率分布に当てはまるのか考えます。確率分布とは、データが出てくる確率の一覧だと思ってください。そして正規分布は最もメジャーな確率分布です。平均に近いデータが多く、平均から離れるデータほど起こりにくいというものです。

正規分布の例としてよく出されるデータは身長です。男性の平均身長は170㎝だとしたら、街に出かけた時に見かける男性は170cmに近い身長の人は多く、逆に190cmの人や、150cmの人はなかなか見つかりません。株のリターンも同じで、大損や大勝が日常ではなくレアケースであることから先程の身長の話と似ていますね。正規分布の形は左右対象で釣鐘型のベルみたいな形をした分布になります。また正規分布と言えば大事になってくる定理(中心極限定理)もあります。興味のある方は詳細ご確認ください。

正規分布とは

中心極限定理

一方、多くの実証研究によると、金融商品のリターンの分布は釣鐘型であるものの、正規分布と比較して、より裾野が広く(ファットテイル)かつ、平均を中心に非対称であるとされているようです。ではなぜ、正規分布が使われるかというと数学的に扱いやすいからです。では実際にはどのような分布になるのかは下記の通りです。興味ある方は是非。

金融商品は正規分布するが…

前置きが長くなりすみません。でも背景として大事なので記載いたしました。では、実際に標準偏差を出していきましょう。

標準偏差の式は以下になります。

(n=データ個数、Xiは各データの値、μ(ミュー)はデータの平均値を表してます)

私が学生の時の覚え方は、”平均からの乖離の二乗の期待値にルートを取ったもの” と覚えてました。各データの平均からの乖離をそれぞれ出して、それをすべて足し合わせて、n(データ数)で割ることで期待値(平均)を算出する。ここまでが分散でそれにスクウェアルートを取ったものが標準偏差です。

標準偏差の説明についてもっと直感的に分かりやすい説明がございますのでそれは下記リンクをご覧ください。

数式なしでわかる標準偏差

標準偏差を手で計算するのはしんどいので、Excel等で計算します。Excelを使った計算のサンプルを載せときます。下記サンプルは8月以降のネオス(3627)UEX(9888)トヨタ自動車(7203)のそれぞれの日次の終値から対数リターンを算出し、そこからリスクシャープレオを出しました。下記表より、ネオスのリスク(下記表のリターン標準偏差(年次))90.31%とかなり高いですね。8月に入って暴騰してますから、それを年率に引き延ばすとそれぐらいのリスクになるのでしょう。

もしよければチャートでもご確認ください。→ ネオスチャート

察しの良い方はお気づきかもしれませんが、冒頭に述べたイメージと異なる例外はこれです。ネオスのリスクは高いですが、8月からネオスに投資していれば累計で20%以上の利益が出ております。つまり、利益出ていてもリスクが高いということがそれなりにあるということです。

ちなみに標準偏差を英語では “standard deviation” というのですが、Excelには標準偏差を出す関数が用意されており、”=STDEV ” とセルに打てば勝手に候補が出てきます。

よく使うのは ”=STDEV.P ””=STDEV.S ” です。使い分けについては、データサンプルの内容によります。例えば上記表のデータはあくまでも8月だけのデータで計算した標準偏差であり、すべてのデータ(母集団)ではありません。要は全てのサンプルから一部つまんできた “標本” なのです。

このように母集団データではない場合は、”=STDEV.S ” を使う。一方、データ自体が母集団(トヨタ上場以来の対数リターンデータ)の場合は ”=STDEV.P ” を使います。 株価のリターンデータで分析する時、私は ”=STDEV.S ” の場合がほとんどですね。

ちなみに ”=STDEV.P ” と ”=STDEV.S ” は上記の数式的に何が違うの?、またなぜそのような処理をするの?と思ってしまった方は以下をご覧下さい。この説明を始めると趣旨がぐちゃぐちゃになるのでアウトソーシングします笑 わかりやすく解説してくれてて本当にありがたいですね。使えればいいやという方は読み飛ばしても構いません。

エクセルで標準偏差

分散、標準偏差においてn-1で割る理由

ちなみに上記表に記載の通り、毎営業日の対数リターンデータから標準偏差を算出した場合、それは日次ベースになっております。金融の世界では年率で記載をするという暗黙のルールがあるため、年率に換算します。換算方法は表に記載の通り、日次の標準偏差×(250)^0.5 で算出できます。250とは年間の営業日数です。もちろん年によって248日の時などもありますが、そこは簡易的に250日として、それにルートを取ったものを日次の標準偏差にかけております。

これで各銘柄のリスクが出せました。これにより、投資の際にあまり変動が大きい銘柄は嫌だなという方は、トヨタのように年率17.26%程度のブレでゆったり投資することもできます。一方、デイトレが好きな方はリスクが高く、出来高がある銘柄を探すというもありだと思います。ただ、これはあくまでも過去のデータに基づく分析です。平常時なら過去と似たり寄ったりのリスクかもしれませんが、トヨタでとんでもない事件が起きたりすると、豹変したようにリスクも上がります。ちなみに日経平均のリスクは20%程度だった気がします。

また、この標準偏差(σ)を利用して、Var(バリューアットリスク)の計測や、大まかな損失や利益の想定(予測例(投資信託))もできます。あくまで過去に基づく参考値ですけどね。

さて、次は標準偏差に加え、リターンも加味した指標であるシャープレシオについてです。

シャープレシオはリスク1単位当たりのリターンです。

これは、標準偏差(σ)が出せていれば簡単です。

シャープレシオ = (投資リターンー安全利子率) / 標準偏差(σ)

で算出します。シャープレシオの他に、似た指標としてトレーナーの測度というものもあります。あわせてご確認ください。トレーナーの測度

上記式で安全利子率を引く理由ですが、上記式の分子はリスクを取って運用した結果、安全資産(リスクがゼロと仮定した資産)から得られる収益(リターン)をどの位上回ったのかを算出してます。

例えですが、A君が “いや~今年株で儲かったよ!!年率0.05%だったよ~” と言っていたら、B君が “え、それって銀行でノーリスクで預金しててもそれぐらいの利回りじゃない?”と突っ込みが入り、A君はリスクを取って儲けた分は0%で何もしていなかったのと同じということです。

安全利子率を何で置くかは議論の余地があるかもしれませんが、無担保コールO/N物レートでいいでしょう。もっと分かりやすいものなら、安全利子率はメガバンクの普通預金の金利をイメージいただければと思います。私は銘柄間の比較でシャープレシオを使うので、安全利子率を0で扱っており、実際今の市場環境であれば0%みたいなもんです。

シャープレシオの注意点で一番注意が必要なのは分子がマイナスのリターンの時です。シャープレシオの分母は必ず正ですが、分子は負になる可能性があります。その場合、機能しないです。他の注意点としては、比較対象を同じアセットクラスで比較することや、比較する時期を合わせるなどの注意が必要です。

余談ですがこれは私の完全な自己流です。シャープレシオは小さいリスクで大きなリターンの時、大きくなります。このような銘柄をロングしている場合、安定感があり、かつ利回りもよいので嬉しいです。そして、そのような銘柄を探したい時はシャープレシオ順でデータをソートすればロングの候補を探すことができます。

では逆に最悪なのは何かというと、リスクが大きく、リターンが小さい(マイナス)というのが最悪です。ただしこれをシャープレシオで調べようとしてもうまくいきません。よって自分が思い付きで使っているのが積シャープレシオです。

これは負の投資リターンー安全利子率)×標準偏差(σ)で算出します。

これにより銘柄間の比較で、最もリスクが高く、リターンが小さい、最悪の銘柄をソートできると思います。何のためにそんな銘柄を探すかというと、ショート候補を探すためです。これは私の思い付きでやっているだけなので、あまり真似しても微妙かもしれません。

ちなみになぜこのシャープレシオを今回説明したかというと、シャープレシオを使った投資って儲かるのかな?と疑問に思いませんか。日経ベリタスでも2018年5月13日にその手の記事が出てました。(詳細以下参照) この記事は投信で実行しているみたいですね。

究極のトレンド追随

私は過去のシャープレシオが良かった銘柄でポートフォリオを作り、その後のリターンがどうなるのか今後、このブログで検証をしてみたいなと思っております。一方で、そもそもシャープレシオって何? 標準偏差とは何?という方にとっては無意味な記事になってしまうので、一旦リスクとシャープレシオを説明する場を設けさせていただきました。参考になれば幸いです。

追記

過去に記事にした注目銘柄の投資パフォーマンス(含み益or損&確定分を含む)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

日本海洋掘削(1606) 空売り 記事記載日6/26

リターン:+94%(買戻し済み)

過去記事↓

6.12 海洋掘削空売り

6.23 海洋掘削逆日歩

6.25 海洋掘削値動き

6.26 海洋掘削買戻し

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

幸楽苑HD(7554) 空売り 記事記載日6/13

リターン :+6%(買戻し済み)

6.13 幸楽苑空売り

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

日本M&Aセンター(2127) 買い 記事掲載日6/14

リターン:-15% (売却済み)

6.14 日本M&A買い

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

田淵電機(6624) 空売り 記事記載日6/19

リターン:+55% (買戻し済み)

過去記事↓

6.19 田淵電機空売り

6.27 田淵電機ADRについて

6.28 田淵電機買戻し&株取引について

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

オリックス(8591) 買い 記事掲載日6/20

リターン:-3% (売却済み)

6.20 オリックス買い

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

鉄人化計画(2404) 空売り 記事掲載日6/30

リターン:+6% (買戻し済み)

6.30 鉄人化計画空売り

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

夢の街創造委員会(2484) 空売り 記事掲載日7/4

リターン:+3% (買戻し済み)

7.4 夢の街創造委員会空売り

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ブイ・テクノロジー(7717) 買い 記事掲載日7/10

リターン:-3% (売却済み)

7.10 ブイ・テクノロジー買い

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

エーザイ(4523) 空売り 記事掲載日7/12

リターン:+4% (買戻し済み)

リターン:+19% (買戻し済み)

7.12 エーザイ空売り

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

フィンテックグローバル(8789) 買い 記事掲載日7/17

リターン:+3% (売却済み)

7.17 フィンテックグローバル買い

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

記事掲載日7/24

アイケイ(2722) 買い

リターン:+1% (売却済み)

エスプール(2471) 買い

リターン:+3% (売却済み)

串カツ田中HD(3547) 空売り

リターン:+2% (買戻し済み)

ネオス(3627) 空売り

リターン:-3% (買戻し済み)

7.23 複数銘柄の売買掲載

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ネオス(3627) 買い 記事掲載日7/24

リターン:+21% (売却済み)

7.24 ネオス買い

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

記事掲載日8/20

トレードワークス(3997)買い

リターン:+2% (継続中)

トレンダーズ(6069) 買い

リターン:+4% (継続中)

トレードワークス(3997)、トレンダーズ(6069) 買い

以上




ツイッターでも色々つぶやいてます
 

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

コメント

  1. こだま より:

    いつも大変興味深く拝見しています
    有益な情報をありがとうございます
    私、先日来よりネオスの株を平均800円程度で保有しております
    本日公募増資の発表があり行使価格は561円との事です
    そこでわたしの取る道は
    ①寄り付いたら損切りする
    ②561円辺りでナンピンをする
    誠に僭越ではありますが私の取るべき選択をご教示いただければ幸いです
    資金的にはナンピンにも耐える事はできます
    よろしくお願いします

    • ニ~ノ より:

      こだまさん

      こちらこそ見ていただきありがとうございます。
      MSワラントでの増資と、既存株主にとって短期的にはいいニュースではありませんよね。
      心中お察しします。ただ、私がこだまさんに取引のアドバイスをできる立場にはございません。
      ですので、新たに記事を作成し、本件IRに対して私の意見を記載しましたので、参考までに見ていただき、
      こだまさんが納得される取引をすべきかと思われます。
      今後とも何卒よろしくお願い致します。

      みんピヨ