かんぽ生命保険(7181)の不正販売について

かんぽの不正販売について、以前私が銀行の支店時代に保険を売っていたこともあり、気になったので所感を書きたいと思います。

※ 余談ですが、保険商品の銀行窓口販売は、2001年4月1日より段階的に緩和が始まり、2007年12月22日に全面的に解禁されてます。保険は保険屋さん以外に、銀行でも買うことができます。

かんぽの不正販売について、今日社長が会見で謝罪したようですね。

疑惑の不正は、旧保険を解約し、新保険を契約させる乗り換えという手法に端を発している模様。乗り換えにより、保険料を旧保険料、新保険料を2重で徴収したことや、旧保険解約した後に、健康状態により新保険に加入できない状況をつくりだしてしまったことなどが挙げられているようです。(詳しくはこちら

これらの報道を最初みた私は…

保険の乗り換え???  

え、保険の乗り換えなんてそもそもできるの???

保険料を2重で徴収???

そんなことできるの???

って感じでした。

なぜそう感じたかというと、銀行にいた時、投信などの乗り換えはともかく、保険の乗り換えはとても厳しかったっと記憶しているからです。お客さんからよほど他の保険へ乗り換えをしたいという強い希望が無い限り、できないはずです。(そんなお客さんはなかなかいませんが…)

それは、乗り換えることにより、既存契約のメリットが失われてしまうことや、新たに手数料負担が発生し、お客さんに不利益が発生する可能性が高いからです。逆を言うとお客さんが乗り換えしてくれると金融機関は儲かるわけですが…

よって銀行時代、私は営業成績を上げたいからといって、保険の乗り換えをするようにお客さんを誘導したり、勧めたりするのはできませんでした。

詳しく記載すると、保険業法に規定されている保険募集に関する禁止行為(保険業法第300条)があり、不利益になるべき事実を告げず、乗り換えは禁止と規定されてます。保険を販売するには保険募集人という資格が必要になり、当然販売者はこのことは知っているはずです。(かんぽの営業さん達もね…)

じゃあ、不利益を承知してくれたお客さんならいいじゃん!って話になるのですが、それはセールスの都合のいい解釈だと思います。かんぽ生命は当初、顧客が同意しているとの理由で「不適切な販売ではない」と主張していたらしい(記事)ですが、おそらく上記の解釈で乗り切ろうとしたんでしょうね。

話を戻しますと、かなり厳しい制限がある保険の乗り換えをなぜかんぽ生命はできてしまったのか…それが今回一番の問題だと私は思います。かんぽの社内の販売体制・姿勢ってどうなってるの?!今までよくやってこれたね…ぐらいの感覚です。

今の時代、どこの金融機関のリテール部門でもお客さんにリスク性商品を販売するにあたって、幾度となく法令や社内規定に関する研修を受け、やってはいけないことを口酸っぱくコンプラから言われていたであろうはずなのに、まだこんな事件が起きるんだと思ってしまいました。しかも大手で。

では、なぜこのようなことが起きてしまったのか、現場のセールスの気持ちを予想してみたいと思います。

私も現場でセールスをやった時、乗り換えは嫌いではなかったです。乗り換えって販売ノルマを達成するうえで非常に楽なんです。正直、リスク性商品(保険、投資信託、外貨定期等)を買うお客さんって一部なんですよね。一方、新規で一から開拓して、買ったことない人をリスク性商品デビューさせるのは結構大変で営業努力が必要です。よって、購入経験があるセールスにとって都合のいいお客さん(大体優しい、良い人です)にもう一度買ってもらうか、資金面で厳しいなら既存のものを解約し、乗り換えしてもらうことにより営業効率はかなり良くなります。

特に乗り換えがしやすかったのは投資信託。投資信託の乗り換えも厳しい社内規制はあったものの、保険ほどは厳しくはなかったです。証券会社出身の先輩なんかは株の乗り換え営業で慣れているのか、乗り換えをうまいこと活用し販売ノルマを達成してました。

私も乗り換えは好きだったので営業成績は悪い方ではなく、上位で競っていたのですが、乗り換えで楽にノルマ達成できることに味をしめた私は、保険についても乗り換えでノルマ達成できないものか…と検討しました。正直、とても人が良く、セールスが言ったことを鵜呑みにして即行動するお客さんているんです…。多分説得すれば簡単に落ちるとみて、既に保険を持っているお客さんで、変額保険でたくさんの含み益が出ている人をリストアップして解約リストを作ったりしてました。後にそれを実行に移そうと先輩に相談してかなり怒られた記憶があります。その頃は新人でルールに疎かったことや、成績を上げることに必死だったのが一番の原因でしょうね。

というわけで前置きが長くなりましたが、かんぽのセールスさん達も同じような理由でしょう。かんぽについては、非常に重い販売ノルマが課せられていたようです。

私は先輩に怒られたことや、銀行としても乗り換えは極力するなという雰囲気だったので、結果として保険の乗り換えはしませんでした。ですが、もし周りがやっていて、上からも数字取ってこい!!っていう雰囲気のなかで働いていれば恐らく私は乗り換えをやっていたと思います。

こちらの記事にも書いてありますが、かんぽ生命は企業風土や社員の意識改革を今後していかねば同じことは繰り返されるでしょうね。

最後に、かんぽ生命は本日社長が謝罪会見を行い、かんぽ生命のサイトにも契約乗り換えに係る今後の取り組みを記載してます。

今回の件で顧客に不利益を与えた契約は9万件を超えるとの記事もありました。

過去にかんぽ生命で乗り換えをしていないか? 予定利率が高いなど、お客さんにとってメリットがある保険を過去に解約させられていないか? 等は是非これを機会に確認してほしいと思います。

追記 株価について~

かんぽ生命保険は、2015年11月04日に上場してから、上場来安値を本日付けたようです。日経の記事にもありましたが、今後行政処分がでる可能性もあり、運用会社などが売却するなど、株価については今後も厳しい展開が予想されると思います。

今後、かんぽ生命にはさまざまな費用負担が発生する可能性があり、今期の決算についても下方修正が懸念されます。直近の決算が気になる方はこちらをどうぞ

以上。




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